1、貸付事業用宅地等を取得しても、相続開始3年以内の
取得は小規模宅地等の特例の適用は受けられない事
になりました。
改正前
相続開始の直前において、被相続人等の貸付事業の
用に供されていた宅地等
改正後
相続開始前から遡って3年を超えて、被相続人等の
貸付事業の用に供されていた宅地等
但し、被相続人等が事業的規模で相続開始前から
遡って3年を超えて貸付事業を行っている場合
には、
相続開始前3年以内に、新たに開始した
貸付事業用宅地等は、改正前と同様に、特例の
適用を受けることができます。
2、改正の趣旨
貸付事業用宅地等の特例の要件を満たすために
相続直前に現金や借入金で貸家を購入、貸付けして、
相続税を節税するという方法は今まで過度に行われて
いました。
この相続発生直前の節税策を規制するために改正
されました。
貸家を購入すると、
建物の相続税評価は、
固定資産税評価額課×0.7
固定資産税評価額が時価の半分程度の上に、0.7
を乗じて更に減額され、
土地も、相続税評価額×(1-借地権割合)
という計算式で土地建物の相続税価額は計算します。
具体的な数字で計算してみます。
3、土地建物の計算例、
建築価額 100,000千円
固定資産税評価額 60,000千円
土地の自用地評価額 50,000千円
借地権割合 70%
借入金100,000千円
とします。
建物価格 相続税評価額
60,000,000×0.7=42,000,000円
土地の評価額
借地権割合 借家権割合
50,000,000円×(1-0.7×0.3)=39,500,000円
土地 建物
39,500,000+42,000,000=81,500,000円
借入金100,000千円が負債として控除され、
100,000円で建築した建物が42,000円で評価
され、58,000千円も評価額が減額されました。
土地も、50,000千円が39,500千円の評価額
になり、10,500千円の減額、
土地建物、合わせて、68,500千円
、
減額になるわけですから、数字だけ考えれば、節税策
としては強力ですね。
強力ということは、政府としては大幅な税の減収です。
4、適用時期
上記の改正は、平成30年4月1日以後に相続又は遺贈
により取得する財産に係る相続税から適用されます。
但し、平成30年4月1日より前から貸付事業の用に
供されている宅地等については、除外されます。
事業的規模とは、所得税法における、5棟10室の基準
を原則として適用します。
5、貸家建設の損得、
確かに、上の算式でも分かる通り、節税力は抜群ですから、
3年を経過すれば、相続税の納税額は大幅に下がります。
しかし、それは一定の賃借人が確保されての話で、
誰も入居者がいないような状態でしたら、
借入金や固定資産税の支払いで資金繰りに窮し、
土地建物を手放す羽目に陥ります。
よくよく考えて、安易にうまい話に飛びつかない用心が肝要ですね。