税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

妻の「へそくり預金」は相続財産?

 


 間違い易い財産評価 特集第4弾!

 今回は専業主婦の「へそくり預金」です。

 

調査官「この奥様の預金は千数百万円もの残高という多額なものですが、
   これはどのような預金でしょうか?」
老婦人「この預金は何十年にわたって主人から頂いた生活費を
   少しづつ貯めたものです」

老婦人は今。85歳。
途中でおろした事はないというから、60年にわたって少しづつ
慎ましく暮らして貯めた預金でしょう。

さて、この預金は妻の物でしょうか?

残念ながら、被相続人である夫の相続財産に加えられて
相続税計算の対象となります。

根拠は民法762条です。

次のように書かれています。

(夫婦間における財産の帰属)

第762条

1、夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、
 その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、
 その共有に属するものと推定する。

つまり、夫が稼いだ財産は全て夫に帰属し、妻の財産は
婚姻前から所有していたもの、相続で受け継いだ財産、
贈与を受けた財産等に限られます。

今の民法の規定では専業主婦は固有の収入がないわけですから、
全ての財産は夫のものということになります。

 妻だって家事労働という大変なお仕事をしているのに、
少し、矛盾を感じますが今の法律はそうなっていますから
仕方ないですね。

では、課税されない為にはどうしておけば良かったのでしょうか。

毎年、贈与契約書を作成し、贈与税の申告をして
申告書を保管しておくことです。


こうしておけば、贈与により得たものとして妻固有の財産となります。

年110万円ずつ贈与を受けても60年経てば6600万円に
なります。馬鹿になりませんね(笑)

もっとも連年贈与に引っかからないように工夫する必要はありますが。