税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

相続財産評価の時期、時価とは?

相続財産評価の時期


 間違えやすい財産評価 特集第9弾!


被相続人が亡くなった時はアパートが建っていたけど、
古く老朽化していたので、取り壊して申告時期には更地に
なっている。

 果たして、貸家建付地で評価していいものか、又は、
更地だから自用地で評価すべきなのか?



 こうした質問を受けます。

 

 相続税申告に当たっては、財産、債務を評価して申告を
するわけですが、問題はいつの時点での財産で評価するか
ということです。

 相続税法22条によると、

 財産の価額は、その財産の取得の時における時価により
その財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の
現況による。

  
 と記述されています。

 更に、財産評価通達 1 において詳しく説明されています。

 
 取得の時というのは、被相続人が亡くなられた日、
です。

 即ち、相続財産の価額は相続開始の日の現況による

ということになります。

 上記の設問で言えば、亡くなった日の現況はアパートが建って
いたわけですから、当然、貸家建付地評価ということになります。

 預貯金も株式も相続開始の日の残高で申告することになります。

 

 昔、相続税の申告をした事例ですが、

 

  被相続人の宅地は正面の大通りが拡張工事していて

通行できず、側面の細い通りから家族は出入りしていました。

 

 相続開始から半年後には工事も終わって、正面の大通りが通行できる

ようになりましたが、

 

 私はその時考えました。

 

 相続開始の時点では正面道路は閉されていたわけだから、

側面の細い通りが正面路線になる、と。

 

 そして、側面を正面路線として申告しました。

 

 申告後、税務署内で問題になり、担当官は

「本来の通りは大通りでたまたま拡張工事で閉鎖されていただけだから、

大通りが正面路線になる」

と主張しましたが、

 相続税評価担当が

「いや、相続開始の時の現況で判断すべきだから、この申告は正しい」

と私の申告を支持していただき、無事、是認となりました。



 第三章 財産の評価

(評価の原則)

第二十二条 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により
取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、
当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による

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