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大学の友人はお金がないので神田川べりの下宿の屋根裏に
住んでいました。
あれでも家賃取るんですかね。
彼とは毎週のように会っては文学や音楽について時の経つのも
忘れて語り合って、時々、彼の下宿に泊まってしまったものです。
二階からはしごで上がると屋根裏に生活用具が置いてあって、
すぐ上に屋根があるから背をかがめて歩かなくてはなりません。
せんべい布団を2つに分けてカシワで寝ながら
「この曲、いいよ」
と言ってかけてくれたレコードがドヴォルザークの弦楽四重奏曲
<アメリカ>でした。
高原を吹き抜ける一陣の風のような爽やかな澄み切った印象で、
すぐ気に入りました。
ふと、私は北原白秋の<落葉松>という詩を思い浮かべました。
ーーからまつの林を出でてーーーという、あの詩です。
彼は結婚後大阪に移住して会えなくなってしまったけれど、私が
仕事で大阪に出掛けた折、20年ぶりに再会しました。
大阪駅の構内に立っている彼の姿は少し老けたけれど、相変わらず
飄々として若い頃と変わらないものでした。
懐かしかったですね。
通天閣のおでん屋でおでんを奢ってもらいましたよ。