税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

<1株当たり純資産価額>資産に計上する借地権!

これは、財産評価基本通達 25 貸宅地に関する 問題で、
 
「相当の地代」というややこしい内容です。
 
これを理解するには借地権そのものの課税関係がある程度
わかっていなければなりません。
 
以下、基本的な借地権の課税関係を解説します。
 
一般的に借地権の問題のNO。1は個人の土地に同族会社の建物を
建設する場合でしょう。
 
 この際、一番怖いのは借地権の認定課税です。
 
 何も手を打たなければ認定課税を受けて、多額の税金が発生
します。
 
 1つの税法だけ知っていても間違いを犯します。
 
 法人税所得税相続税国税3法の知識を総動員して総合的に
考える必要があります。
 
 そういう意味では税法上、最も厄介な問題の1つです。
 
 それでは、地主が個人で、その土地の上に同族会社の建物を建設
した場合の課税関係を下記に示します。
 
 最初に、個人である地主の課税関係を示します。
 
Ⅰ 個人である地主の課税関係
              認定課税       所得税               相続税
1、借地権を売却する    ナシ   時価2分の1超ーー 譲渡所得  底地評価
                       上記以外ーーーーー不動産所得 
   
2、相当の地代(年6%)  ナシ    地代を不動産所得      
  を受取る。                の収入計上            底地評価*A
                                 
                                 
、「土地の無償返還に   ナシ   地代を不動産所得         貸宅地として
  関する届出」を提出。          の収入計上。          80%評価。
  賃貸借の場合 
                    
4、「土地の無償返還に   ナシ   地代を不動産所得         更地評価。
  関する届出」を提出。           の収入計上。
  使用貸借の場合
 
 
5、何もしない。     認定課税なし                     底地評価
 
   *A この場合の借地権評価は次のようになります。
 
 自用地としての評価×借地権割合×[1-(実際の地代ー通常の地代)÷(相当の地代ー通常の地代)]
 
 まず、1の、借地権を売却した時は確定申告を要しますが、この場合、
借地権の価格が時価の二分の一超の時は譲渡所得、以下は不動産所得の
収入になります。
 
 相続税評価は法人が借地権を資産計上していますから、当然、底地
評価になります。
 
 2、の、相当の地代として、年6%の地代を収入する時の相続税の評価は、
法人は借地権を資産計上していませんので、売却時と違って上記*Aに
示した算式で計算した底地評価となります。
 
 上記3は賃貸借の契約です。この場合の相続税評価は80%評価
となります。
 
 4、は使用貸借です。使用貸借の相続税評価は更地評価です。
使用貸借は個人対個人の場合はよくあるケースです。
 
 父親の土地に子供が家を建築するというケースです。
 
 5、の何もしない、売却も相当の地代も、無償返還の届出も提出
しない場合は法人が認定課税を受け、借地権を資産計上しますので、
個人である地主も相続税評価は底地評価となります。
 
 相当の地代を時価の6%、受取る場合の時価はどの金額を指すのかとか、
色々、問題が沢山あります。
 
 賃貸借と使用貸借の区分は明確ではありません。
 
「無償返還の届出書」を提出しただけで地代を取らなければ、
完全に使用貸借ですが、
 
 固定資産税の3倍の地代を取れば賃貸借になります。
 
次回は、非上場株式の評価を含めて法人側の課税関係を説明します。