税務会計三直線

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全体像<相続税が取得費に加算される特例>

前回お話しました、

相続税が取得費に加算される特例>の全体を
紹介します。

以下は国税庁のホームページにおける記述です。

改正は平成27年1月1日からの適用ですから、
平成26年12月31日までの法令ということに
なります。

No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
[平成25年4月1日現在法令等]

1 相続税が取得費に加算される特例
 (相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)

(1) 特例の概要

 この特例は、相続により取得した土地、建物、株式などを、
一定期間内に譲渡した場合には、相続税額のうち一定金額を
譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。

(注) この特例は譲渡所得のみに適用がある特例ですので、
株式等の事業所得、雑所得に係る株式等の譲渡については、
適用できません。

(2) 特例を受けるための要件

イ 相続や遺贈により財産を取得した者であること。

ロ その財産を取得した人に相続税が課税されていること。

ハ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税
申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

(3) 取得費に加算する相続税の額

 取得費に加算する相続税の額は、次のイ及びロで計算した金額
の合計額又はハの金額のいずれか低い金額となります。

イ 土地等を売った場合

 土地等を売った人にかかった相続税額のうち、その者が
相続や遺贈で取得したすべての土地等(注)に対応する額
(注)
1 土地等とは、土地及び土地の上に存する権利をいいます。
2 土地等には、相続時精算課税の適用を受けて、相続財産に合算された
贈与財産である土地等や、相続開始前3年以内に被相続人から
贈与により取得した土地等が含まれ、

相続開始時において棚卸資産又は準棚卸資産であった
土地等や物納した土地等及び物納申請中の土地等は含まれません。

<算式>
その者の相続税×
その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた土地等の価額の合計額
        その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額
=取得費に加算する相続税の額

 ただし、既にこの特例を適用して取得費に加算された相続税額が
ある場合には、その金額を控除した額となります。

ロ 土地等以外の財産(建物や株式など)を売った場合

 土地等以外の建物や株式などを売った人にかかった
相続税額のうち、譲渡した建物や株式などに対応する額

<算式>

その者の相続税×
その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた譲渡資産の価額
 その者の相続税の課税価格   +   その者の債務控除額

=取得費に加算する相続税の額

ハ この特例を適用しないで計算した譲渡所得の金額

2 この特例を受けるための手続

 この特例を受けるためには確定申告をすることが必要です。

 確定申告書には、

①、相続税の申告書の写し(第1表、第11表、第11表の2表、   
  第14表、第15表)、

②、相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書、

③、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書[土地・建物用])
  や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

などの添付が必要です。

 ②の計算明細書を利用すると、取得費に加算される相続税額を
 計算することができます。
(所法33、38、措法39、措令25の16、措規18の18)