税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

個人編!個人が土地を法人に貸した場合の課税関係!


個人が同族会社に対して土地を無償で貸した場合、
「無償返還届出書」を提出すれば、法人に対する
借地権の認定課税は行われない事を前回、説明しました。

では、貸した個人においてはどのような課税関係が
生じるのでしょうか?


個人が土地を法人に貸した場合の、個人の課税関係
を考える時、

所得税
贈与税
相続税


の3税を検討する必要があります。

最も、贈与税相続税法に含まれますので、実質は
2つの税法の検討ですが、---。

所得税法で関係すると思われる条文は、

1、36条 収入金額

2、59条 贈与等の場合の譲渡所得等の特例、

36条は収入金額について規定した条文です。

収入すべき金額又は総収入金額に算入すべき金額
は、別段の定めがあるものを除き、その年において
収入すべき金額とする、


と規定しているので、無償の場合は収入金額に
含まれないことになります。


個人と個人における無償は贈与税の適用を受けますが、
対法人には贈与税の適用はありません。


例外として、59条があります。

この条文は、「贈与等の場合の譲渡所得等の特例」
で、

法人に対して無償で贈与したり低額譲渡した場合は、
その時の時価により譲渡があったものとみなす、

という規定です。

但し、この条文には例外が基本通達において記されて
います。

所得税法基本通達59-5です。

この通達において、59条の内、「譲渡所得の基因となる所得の移転」には
借地権の設定は含まれない、と書かれていますから、


従って、個人が土地を法人に無償で貸しても課税関係
はないことになります。



次回は、相続税法との関係を説明いたします。

参照

所得税法
(収入金額)
第三十六条  その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額
又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、
その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益を
もつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。

(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)
第59条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)
又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、
譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、
その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。

一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈
(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)

二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
【令】第169条
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第2号に規定する対価の額により
譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の事務に係る山林所得の金額、
譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した
費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、
譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。


所得税法基本通達
(借地権等の設定及び借地の無償返還)

59-5 法第59条第1項に規定する「譲渡所得の基因となる資産の移転」には、
借地権等の設定は含まれないのであるが、借地の返還は、その返還が次に
掲げるような理由に基づくものである場合を除き、これに含まれる。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

(1) 借地権等の設定に係る契約書において、将来借地を無償で
返還することが定められていること。

(2) 当該土地の使用の目的が、単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、
又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用していたものであること。

(3) 借地上の建物が著しく老朽化したことその他これに類する事由により、
借地権が消滅し、又はこれを存続させることが困難であると認められる事情が生じたこと。
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