相続編、個人が土地を法人に貸した場合の課税関係!
個人が土地を法人に貸した場合の課税関係を、
法人の場合、個人の場合について書いてきました。
簡単に結論だけお話しますと、
個人の場合は、所得税法において課税関係はなく、
法人の場合も「無償返還届出書」を提出すれば、
認定課税は行われないということでした。
あと一つ、検討する税目が残っています。
相続税法上の問題です。
個人が法人に貸した土地は相続が発生した場合、
どのような評価になるのでしょうか?
社長が個人の土地を同族会社に貸すケースは,
大抵、節税を目的としています。
この場合、相続税法上では2つの注意点があります。
1、相続税の財産評価
2、「小規模宅地等の特例」の適用の有無、
です。
財産評価の場合、使用貸借では、土地は自用地評価
となりますが、賃貸借にすれば20%の減額があります。
「小規模宅地等の特例」は家賃が無償の場合は適用が
ありません。
これらを総合的に考え合わせると、一番、節税上良い
方法は、
固定資産税の3倍程度の地代を収受して貸す事です。
このケースですと、
1、法人は「無償返還届出書」の提出で課税はなし、
2、相続税の財産評価は、
自用地価額×80%=相続税評価額
同族会社の株式評価で純資産価額の計算において、
自用地価額の20%を借地権として計上する、
3、「小規模宅地等の特例」で
400㎡まで80%の減額
(但し、不動産貸付業を除く)
無償又は固定資産税程度の地代ですと使用貸借になり
上記2、3の適用がありません。
使用貸借の場合は、土地は更地評価になります。
小規模宅地等の特例における「特定同族会社事業用宅地等」
に該当する為には、地代の支払いが適用要件です。
その他の適用要件、
1、法人の要件、
被相続人及び被相続人の親族等が有する株式等の総額が、
その法人の発行済株式総数の10分の5を超える法人、
2、取得者の要件、
その宅地等を取得した者のうち、次の要件の全てに
該当する被相続人の親族が取得した部分に限られる、
イ、相続税の申告期限において、
特定同族会社の役員であること、
ロ、その宅地等を相続税の申告期限まで保有すること、
参照
昭和43年10月28日
国税局長 殿
国税庁長官
相当の地代を収受している貸宅地の評価について
標題のことについて昭和42年7月10日別紙2のとおり東京国税局直税部長から上申があり、
これに対して同年12月5日別紙1のとおり指示したところであるが、今後、同様の事案については、
これにより処理されたい。
別紙1
直資3-13
官審(資)28
直法1-298
直審(資)12
査調4-12
昭和42年12月5日
東京国税局長 殿
国税庁長官
相当の地代を収受している貸宅地の評価について(昭和42年7月10日付東局直資第72号による上申に対する指示)
標題のことについて、課税時期における被相続人所有の貸宅地は、自用地としての価額から、
その価額の20%に相当する金額(借地権の価額)を控除した金額により、評価することとされたい。
なお、上記の借地権の価額は、昭和39年4月25日付直資56相続税財産評価に関する基本通達32の(1)
の定めにかかわらず、被相続人所有のI株式会社の株式評価上、同社の純資産価額に算入することとされたい。
(理由)
地代率との相関関係から借地権の有無につき規定している法人税法施行令第137条の趣旨からすれば、
本件の場合土地の評価に当たり借地権を無視する考え方もあるが、借地借家法の制約賃貸借契約に
もとづく利用の制約等を勘案すれば、現在借地慣行のない地区についても20%の借地権を認容して
いることとの権衡上、本件における土地の評価についても借地権割合を20%とすることが適当である。
なお、本件における借地権の価額を被相続人が所有するI株式会社の株式評価上
、同社の純資産価額に算入するのは、被相続人が同社の同族関係者である本件の場合においては、
土地の評価額が個人と法人を通じて100%顕現することが、課税の公平上適当と考えられるからである。
別紙2
(省略)