税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

「家なき子」適用要件の見直し!

 

平成30年度税制改正所得税法人税相続税、消費税と多岐にわたって
行われましたが、
 
相続税について、主なものは、
 
 新「事業承継税制」の創設、

 一般社団法人等に関する相続税贈与税の見直し、

 小規模宅地等の特例の見直し

等がありました。

小規模宅地等の特例の見直しは、主に次の2点です。

  1、家なき子、適用要件の見直し、

  2、貸付事業用宅地等の見直し、

Ⅰ、「家なき子」の要件の見直し

今回の改正で、持ち家に居住していないものに係る
特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、
次に掲げる者を除外します。

1、相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又は
  その者と特別の関係のある法人が所有する国内に
  ある家屋に居住したことが在る者、

2、相続開始時において居住の用に供していた家屋を
  過去に所有していたことがある者

Ⅱ、適用時期

 上記の改正は、平成30年4月1日以後に相続または遺贈
により取得する財産に係る相続税から適用されます。

Ⅲ、 改正前の「家なき子」の要件は

①、被相続人が日本に住んでおり、相続する親族は、日本国籍
  があることまたは日本に住所があること、

②、被相続人に配偶者がいないこと(死別等していること)

③、被相続人と一緒に住んでいた人は、法定相続人
  ではないこと、

④、相続開始前3年以内に日本国内の自分の名義又は
  配偶者の名義の家に住んだことがないこと、

⑤、被相続人の宅地等を取得する親族は、相続税申告期限
  まで、その宅地等を所有していること、

Ⅳ、改正の理由、

 以上のような要件に該当すれば、被相続人と同居して
いなくとも、持ち家がなければ、特定居住用宅地等の
80%の減額が受けられましたが、

 事前に持ち家を親族、同族会社に売却等して意図的に
持ち家を親族、同族会社の名義にし、そのまま、その家に
住み続けることが可能であるため、

 上記④の要件を見直し、
 抜け道をなくしたというのが、今回の改正の趣旨です。