税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

歴史は繰り返す、と言いますが、1989年バブルの頂点の頃です。

 変額保険なるものが登場しました。
 保険料を株式で運用して多額の配当を支給するというものです。

 三菱銀行の営業課長さんがやってきて、
「お客様に変額保険を売ってもらえないか」と話を持ちかけてきました。
 銀行が融資してお客様が変額保険を買う、というものです。
 しかし、私は変額保険を1件も売りませんでした。
 生保の株式運用の現場をテレビで見たからです。
 まだ、大学を出て数年の30歳前後の若者が、ずらりと並んだテレビ
のモニターを見ながら運用している光景です。
 これは駄目だ、と思いました。
 株式相場は少なくとも上昇と下降の両方を経験して1人前なのに、あんな
若者に設けられるわけがないと思っていたからです。

 ある日、お客様から「ちょっと立ち会って欲しい」と電話が入りました。
夕刻のこのこ出掛けていくと、三井銀行と、確か、明治生命の人が
訪問していて、変額保険の勧誘の真っ最中でした。
 三井銀行が1億円融資して、そのお金で明治生命の変額保険を買う、と
いうものです。
「私共の変額保険は株式の運用で20%の利益率を誇っています」
明治生命の人が豪語してます。
<単純株価平均が40%も上昇している時にたった20%かよ、
下手くそ!(笑)>と腹の中で思いました。<それじゃ、20%下がったら
半値になるじゃん!>

「わかりました。それでは明治生命さん、1億円の元本を保障してくれたら、
その話に乗りましょう」と言ったら
「それは相場のことだから出来ません」と断られました。結局、この話はなかった
ことになりました。

 その後の変額保険の悲惨な状況はご存知の通りです。50%、70%減はザラ
でしたから。投信も同じような状況です。
 各地で裁判ざたが起こり、自殺者も出ました。
 しかし、銀行も保険会社も逃げの一手です。