令和6年1月1日以後の相続、遺贈、贈与により取得した
区分所有マンションの価額は新たに定められた個別通達により
評価します。
改正の理由
通常の土地家屋の相続税評価額は、時価の0.6程度ですが、
分譲マンションの評価は実勢価格の3割程度となり、乖離が
大きいので、その差を是正しようというのが改正の理由です。
計算式は、従来通りの計算方法による価額に
新たに「区分所有補正率」を乗じて価格の是正を計ろうと
するものです。
対象となる区分所有マンションは、
1,3階以上
2,区分登記されている分譲マンション
です。従って、以下のようなマンションは適用がありません。
1,区分建物の登記がされていないもの(一棟所有の賃貸マンションなど)
2,地階を除く総階数が2以下のもの
3,その全てを区分所有者又はその親族の居住の用に
供するもの(いわゆる二世帯住宅など)
計算式はかなり複雑です。
算式(自用の場合)
(1)従来の方法による評価額を計算します。
建物(区分所有権の価額)
家屋の固定資産税評価額×1.0
土地(敷地利用権の価額)
路線価×各種補正率×区分所有権/マンション全体の敷地面積
(2) 上記の計算による評価額に、区分所有補正率を乗じます。
① 従来の区分所有権の価額 × 区分所有補正率
② 敷地利用権の価額
従来の敷地利用権の価額 × 区分所有補正率
(3)「区分所有補正率」の計算方法
算式
1,評価乖離率
評価乖離率=A+B+C+D+3.220
A 築年数×-0.033(1年未満の端数は1年)
B 総階数×0.239(小数点以下第4位切捨て)
C 所在階×0.018
D 一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×ー1.195
(小数点以下第4位切り上げ)
*
敷地持分狭小度=敷地利用権の面積÷専有部分の面積(床面積)
(注)評価乖離率が零又は負数の場合は区分所有権及び
敷地利用権の価額は評価しない(評価額を零とする)
2,評価水準
評価水準=1÷評価乖離率
3,区分所有補正率
区分 区分所有補正率
評価水準<0.6 の場合 評価乖離率×0.6
0.6<評価水準< の場合 補正なし(従来の評価額で評価)
= =
1<評価水準 の場合 評価乖離率
国税庁のホームページに「区分所有補正率の計算明細書」が
掲載されていて、計算式は複雑ですが、その計算書を使用すると
意外と簡単に計算できますので、
次回に、例題をその計算書に記入してみます。