税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

友との永久の別れ

友との永久の別れ

 


 故郷の友から久しぶりに電話があった。
 高校2年生の時から何十年という長い付き合いの親友だ。


「長い間、ありがとう!楽しかった。これが最後の電話だと思うから。ーー
 血液の癌だから、医者に、あと1カ月の命だと言われた」
「馬鹿、何言ってんだ。あと5年は生きろ!癌に効くという
 サプリを送るから、これを大量に飲んでみろよ」
「ありがとう、元気になったら遊びに行くからな」


 電話があったのは12月だった。
 それから、一カ月しない内に彼の携帯に2度電話したが、
電話に出ることなく返信もない。
 
 彼とは高校2年で同じクラスになって知り合った。

 ある時、二人は校庭で捨てられた子犬を拾った。
「可哀想だから家で飼ってやるべえ」
と彼が言って、汽車に乗れないから二人で代わりばんこに
子犬を抱いて3里の道をてくてく歩いて彼の家まで帰った。
それ以来の付き合いだ。

 彼との長い年月の楽しかった様々な出来事を思い返して、
今、私は悲しみに沈んでいる。
 私は税理士になり、彼は麻布獣医大学を卒業して獣医になり、
二人で手を携えて長い年月を過ごしてきた。

 欲も邪心もない、人の幸せを素直に喜ぶ、おおらかな男だった。
彼と会うといつも楽しかった。嫌な思い出はひとつもない。

 幸せは一生を送った彼の人生は祝福すべきなのに、
何故、こんなに悲しいのか。