税務会計三直線

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節税効果、ほとんどない!「相続時精算課税制度」

私はこの制度の適用には極めて慎重です。理由は、
節税効果がほとんどないからです

1、贈与税の暦年課税なら、110万円を4回贈与
 すれば、440万円の財産が相続財産から外れるが、

 この制度で2500万円使って非課税と言っても
 相続時は2500万円全額が加算され、節税と
 言う意味では全く効果がありません。

2、節税という意味では暦年課税や住宅取得資金贈与
 や1500万円までの教育資金贈与の方が圧倒的に
 優れています。

3、その他のデメリット


 ①、小規模宅地等の特例が使えない

  自宅を贈与したり、事業経営の土地を贈与したり、
 アパート等の収益物件の敷地を贈与すると、
 小規模宅地等の特例を使えず、大幅に不利になります。

 ②、この制度を一度利用すると、暦年課税に戻れない
 ので、余程、覚悟して利用することです。

4、私が過去にアドバイスして扱った例では、

 ①、親の金使いが荒くどんどん 財産が目減りするので、
 やむなく、この制度を使って主要な財産を贈与したこと、

 ②、相続時に兄弟争いが想定されたので、この制度を
 使って贈与した、

等々、特殊な事情で、相続税の課税を無視した贈与
アドバイスしました。

5、収益アパートの贈与

 この場合、古くなった建物を贈与すると、確かに、収益
が受贈者の所得になり相続対策として有効のようですが、

 建物を贈与したため、土地が使用貸借となり、
貸家建付地の評価減が行われず相続税計算で過去の収益
よりも多くの相続税を支払うことになります。

親が思いがけず早死にしたため計算が狂うことがあります。

中々、難しいですね。