について説明します。
この制度は一般に知られているように、
1、婚姻期間20年以上の配偶者に対し、
2、居住用不動産又は居住用不動産を取得する為の金銭
を贈与した場合、
3、2000万円を贈与税の課税価格から控除する、
というものです。
相続財産が2000万円分減少するわけですから、
その節税効果はかなりのものがあります。
いいことずくめの制度のようですが、
適用に当たっては、注意すべき点が多々あります。
第1の注意点は、
いくつかの条件があるので、これらの条件を列挙して
全てクリアーすることです。
折角、贈与して登記までして、条件に外れて適用
がありませんでしたでは勿体ない話です。
これらの条件については、次回にお話しします。
第2の注意点は、
相続税の計算において、
自宅については<小規模宅地等の特例>
として、80%控除があるので、
色々な費用をかけて贈与しても余り節税効果が
なかったということも時々あります。
<小規模宅地等の特例>は、自宅については、
240㎡まで80%の減額があります。
次のような例で考えてみましょうか。
自宅面積 150㎡
路線価 200千円/㎡
宅地価額 150㎡×200千円=30,000千円
相続税評価額 30,000千円×20%=6,000千円
①、贈与しなかった場合の税額
相続税の税率が10%ゾーンですと、
6,000,000円×10%=600,000円
相続税額は600,000円です。
②、2000万円の配偶者への贈与をした場合、
30,000千円ー20,000千円=10,000千円
10,000,000×20%×10%=200,000円
相続税額は200,000円です。
400千円節税出来たことになります。
しかし、この位の節税ですと、登記費用や
不動産取得税等を支払うと大したメリットが出ません。
一生懸命贈与しても宅地価額によっては
逆ザヤになりかねません。
では、どのような場合にメリットが出るかというと、
2つの場合が考えられます。
1つは、
自宅の面積が500㎡もあって、配偶者への贈与
を行ってもまだ、特定居住用宅地240㎡の特例を
適用出来る場合、です。
この場合は、2000万円の配偶者控除が丸々生きてきます。
2つ目は、
駅前の1等地に路線価1000万円もの高い地価の
貸付地があって、
200㎡の貸付事業用宅地の特例が適用でき、
特定居住用宅地240㎡を放棄しても
メリットが大きい場合です。
色々なケースを想定して試算してみることが肝心で
あるということです。