税務会計三直線

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安易に使ってはいけない「贈与税の配偶者控除」

今回は、相続税贈与税の関係、その2 として、

贈与税配偶者控除」のメリット、デメリットを
お話します。


少し過激なタイトルですが、上記のタイトルの、

理由は、

節税上のメリットが全くない場合が多い、からです。

ご存じのように、「配偶者の贈与税控除」は、

1、婚姻期間20年以上の配偶者から、

2、居住用不動産の贈与を受けた場合、2000万円まで非課税、

3、<3年内贈与財産の加算>の適用外、

4、一度しか贈与する事が出来ない、


おおまかに、このような内容の<相続税法第21条の6>の規定です。

配偶者に居住用不動産を贈与する場合は、

1、長年の妻の功績にたいして感謝の気持ちで贈与したい、

2、家庭内の色々な状況を考えて、妻に居住用不動産
  を贈与しておきたい、

3、どうも将来、相続税を考える時、税法的にメリットが
 ありそうなので贈与したい、

まあ、こんな理由で贈与するのでしょうが、

問題は3の節税のため贈与しておく、です。

不動産を贈与すると、不動産取得税、登記の際の登記
手数料、という費用がかかります。


凡そ、不動産取得税が課税標準の3/100、

課税標準相続税価格の6、70%位かなと思いますが、


それでも、60%として、1200万円、

、その3%は36万円、

登記手数料を加えれば、50万円近くの費用と思われます。

50万円以上、相続税が安くならなければ節税になりません。


例えば、

このような家族構成と財産内容で居住用不動産の贈与
をした場合、節税効果はあるでしょうか?


妻、子供2人

土地   150㎡    3000万円

建物   100㎡    1000万円

現金預金        3000万円

  計         7000万円


このケースの場合の相続税額は、


  小規模宅地等の減額80%

土地  3000万円×20%=600万円

建物           1000万円

現金預金         3000万円

  課税価格       4600万円


基礎控除額3000万円+1800万円=4800万円


小規模宅地等の特例を使えば、相続税額は零円になります。


贈与が全く無駄になりますね。

妻に贈与した土地は効果があるのは第1次相続だけで、
第2次相続では課税対象になります。

費用をかけただけ損です。

問題は、相続税においてメリットがあるかどうかを
よく検討しておく必要があるという事です。