税務会計三直線

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相続後、売却した自宅は3000万円控除があるか?

過日、相続人から次のような質問を受けました。

「母が故郷で一人で住んでいた自宅を、相続したけれど、
私は東京に持ち家があるので不要となり売却しました。
母が亡くなって3年以内に売却すれば、3000万円
控除の適用はあるんですよね?」

この質問はよくありますが、
答えは「適用はありません」です。

居住用財産を譲渡した場合の3000万円控除は
租税特別措置法第35条」に記載されています。

税法の条文は次のような構成で書かれています。

誰が、

いかなる場合に、

どうする、

この誰が、という部分を35条の条文で読むと、

個人が、その居住の用に供している家屋、

と書かれています。

居住していた母が売却した場合は3000万円控除
の適用が可能です。

又、相続した子が居住した後、売却すれば控除の適用
が可能です。

但し、上の例のように、持ち家があって不要の為、売却
した場合は適用がありません。

次に、いかなる場合にという適用要件を簡単に記して
みますと、

1、家屋と共にその敷地や借地権を売ること、

 以前住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなく
 なった日から3年目の12月31日までに売ること、

2、住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊し
 た場合には、次の2つの要件全てに当てはまること、

 イ、その敷地の譲渡契約が家屋を取り壊した日から
  1年以内に締結され、

   且つ、住まなくなった日から3年目の年の12月
  31日までに売ること、

 ロ、家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで
  その敷地を貸し駐車場などその他の用に供してない事、

3,売った年の前年及び前々年のこの特例又はマイホーム
 の買換えやマイホームの交換の特例若しくは、

 マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除
 の特例の適用を受けていないこと、

4、売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除等
 他の特例の適用を受けていないこと、

5、災害により滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなって
 から3年目の12月31日までに売ること、

6、売手と買手の関係が親子や夫婦など特別な間柄でないこと、

確かに、住まなくなってから3年目の12月31日までに
売却すれば良い、と書かれていますが、

誰が、という部分が大切で、自分が居住のように供していた
ものを売却した個人、

です。

ここを見落として3年という適用要件だけを見ると錯覚を
起こします。