税務会計三直線

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適用要件、詳細!「住宅取得資金贈与の非課税」

直系尊属からの住宅取得資金贈与の非課税は、

租税特別措置法第70条の2
において規定され、補う法令として、

措置法施行令40の4の2、
措置法施行規則23の5の2、

更に、質疑応答事例集で補足しています。

これらの全文を紹介するのは大変なので、要点だけを
かいつまんで、


改めて適用要件を列挙しますと、

1、贈与者の要件

 父・母、祖父・祖母などの直系尊属

2、受増者の要件

 ①、次のいずれかに該当する者であること、

    イ、贈与を受けた時に日本国内に住所を有している事、
    ロ、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないが日本国籍
を有し、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本
国内に住所を有したことがあること、
 ②、贈与を受けた時に贈与者の直系卑属

 ③、贈与を受けた年の1月1日に20歳以上、

 ④、贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額
が2000万円以下、

 ⑤、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得資金の
全額を充てて住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等
をすること、

 ⑥、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住する
こと又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であること、

 ⑦、自己の配偶者、親族などの一定の特別からの新築若しくは取得
又は増改築等ではないこと、

 ⑧、以前にこの非課税制度の適用を受けたことがないこと、

3、住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築の要件

 ①、家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、
その家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住の用に
供されるものであること、

 ②、取得した住宅が中古の場合は次のいずれかに該当すること。
   
イ、中古の住宅用家屋で、その取得の日以前20年以内
に建築されたもの、

   ロ、耐火建築物である家屋の場合は25年以内に建築されたもの、

   ハ、耐震基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」
又は、「住宅性能評価書の写し」により証明されたもの、

 ③、増改築等の要件

   イ、増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分
所有物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下

   ロ、増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上、

4、期限内申告が必要

 非課税制度は贈与税の申告期限内に贈与税の申告書及び添付書類など
を提出した場合に限り、適用を受けることが出来る、

5、住宅取得資金の非課税の特例を受ける場合の添付書類(新築・取得の場合)
各1通、

 イ、申告書第一表の二(住宅取得資金の非課税の計算書)

 ロ、贈与を受けた人の戸籍謄本その他の書類で、次の内容を証する書類
(贈与を受けた日以後に作成されたものに限る。)

  ①、贈与をうけた人の氏名・生年月日

②、贈与を受けた人が贈与者の子、孫(養子を含む)などの
直系卑族であること、
(注)贈与を受けた人が贈与者の孫の場合には、贈与者の
子の戸籍謄本(抄本)も必要、

 ハ、合計所得金額を明らかにする書類(所得税の確定申告書を提出した
人は不要)

例えば、「給与所得の源泉徴収票」又は「市町村民税・道府県民税申告  書」
の写し、

 ニ、新築又は取得をした住宅用家屋に関する登記事項証明書

 ホ、贈与を受けた人の住民票の写し(新築又は取得した家屋に居住した
日以後に作成されたもので、その家屋の所在場所が本人の住所
として記載されているものに限る)

 ヘ、住宅用家屋の新築工事の請負契約書その他の書類でその家屋が
住宅用家屋に該当すること及びその床面積を明らかにする書類
又はその写し

省エネ等住宅である場合


次に掲げるいずれかの書類、

①、住宅性能証明書
②、建設住宅性能評価書の写し
 ①及び②の書類は、その取得の日前2年以内又は取得の日以降に
その証明の為の家屋の調査が終了又は評価されたものに限る。
③、長期優良住宅認定通知書の写し及び住宅用家屋証明書(又は写し)
④、長期優良住宅認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書


「相続時精算課税制度」との併用については、次回のブログで
解説いたします。
 
 

 質疑応答事例集から、次の2つの事例を参考として紹介します。
 
①、住宅用家屋新築等の対価又は増改築等の費用の範囲、

②、住宅用家屋を新築する為の土地の購入資金の贈与


住宅用家屋の新築等の対価又は増改築等の費用の範囲

【照会要旨】

次に掲げる費用に充てられた金銭は、住宅用家屋の新築等の対価又
増改築等の費用に充てられたものとされますか。

売買契約書等にちょう付した印紙

不動産仲介手数料

不動産取得税等及び登録免許税

建築の請負業者以外の建築士に支払った家屋の設計料

住宅用家屋と一体として取得した電気設備等の附属設備の取得対価

【回答要旨】

租税特別措置法第70条の2第2項第5号イ若しくはロ又は第70条の3第3項第5号イ若しくはロに規定する
住宅用家屋の新築等(住宅用家屋の新築等とともにするその敷地の用に供されている土地等の取得及び
住宅用家屋の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含みます。以下同じ。)
の対価とは、新築の場合は住宅用家屋の新築工事の請負代金の額であり、取得の場合には住宅用家屋の
売買代金の額であると解されます。また、租税特別措置法第70条の2第2項第5号ハ又は第70条の3第3項第5号ハ
に規定する住宅用家屋の増改築等(住宅用家屋の増改築等とともにするその敷地の用に供されることとなる
土地等の取得を含みます。以下同じ。)の費用とは、住宅用家屋の増改築等に係る
工事の請負代金の額であると解されます。
 照会の場合、からについては、住宅用家屋の取得に要した費用ですが、新築等の対価又は
増改築等の費用に充てられたものとはいえません。
の設計料については、建設業法上、家屋の建築業者以外の建築士に支払う設計料は、住宅用家屋の
新築工事又は増改築等に係る工事の請負代金の額に含まれないと解されますが、家屋の新築等又は増改築等
をするために直接必要なものであり、建物本体価格を構成するものであることから、新築等の対価又は
増改築等の費用に充てられたものとみて差し支えありません。
の住宅用家屋と一体として取得した電気設備等の附属設備の取得対価については、
本来住宅用家屋の新築等の対価の額とはいえないものですが、その取得対価は住宅用家屋の新築の
工事の請負代金の額又は売買代金の額に含まれており区分が困難であること、また、増改築等の場合には
租税特別措置法第70条の2第2項第4号カッコ書き又は第70条の3第3項第4号カッコ書きの規定により家屋と
一体となって効用を果たす設備の取替え又は取付けに係る工事が含まれることとされていることか
新築等の対価に充てられたものとみて差し支えありません。

【関係法令通達】
租税特別措置法第70条の2
租税特別措置法第70条の3

注記
平成26年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、
必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等
適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
住宅用家屋を新築するための土地の購入資金に充てるために金銭の贈与を受けた場合
における住宅取得等資金の贈与の特例の適用の可否

【照会要旨】

住宅用家屋を新築するに当たり、その敷地となる土地の購入資金に充てるために金銭の贈与を受け、
土地を先行取得し、その土地の上に住宅用家屋を新築しました。
この場合、この贈与により取得した金銭は、租税特別措置法第70条の2第2項又は
第70条の3第3項に規定する住宅取得等資金に該当しますか。

【回答要旨】

住宅取得等資金の贈与の特例(措法70の2及び70の3)の適用対象となる住宅取得等資金には、
「住宅用家屋の新築に先行してその敷地の用に供される土地又は土地の上に存する権利の取得が
行われる場合における当該土地又は土地の上に存する権利の取得のための資金」が含まれます。
 したがって、照会の場合における贈与により取得した金銭は、住宅取得等資金に該当することになります。
 ただし、住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに、取得した土地の上に住宅用家屋を新築
(新築に準ずる状態として、屋根(その骨組みを含みます。)を有し、土地に定着した建造物として
認められる時以後の状態にあるものを含みます。)していない場合には、当該贈与により取得した
金銭については住宅取得等資金の贈与の特例の適用はありません。

【関係法令通達】
租税特別措置法第70条の2
租税特別措置法第70条の3

注記
平成26年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、
必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な
取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が
生ずることがあることにご注意ください。