税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

流動比率はどこまで信用できるか?

 中小企業の経営分析として、今まで、主に、P/Lについて
説明してきました。

 利益がなければ資金はじり貧になるからです。

 利益があってのB/Sです。

B/Sも大切です。ないがしろにしているわけではありません。
特に大切なのが資金の流動性でしょう。

 赤字でも資金が回る限り倒産はありません。資金が
止まって倒産します。

 B/Sの指標で最初に取り上げるのが「流動比率」です。

 流動比率は150%以上あれば安全、等といわれて、
銀行等の安全性比率として使われているようですが、

 銀行が使うのは勝手として、我々会計事務所がこの比率
を使う時は用心が肝要です。

 流動比率の算式は

 流動比率流動資産/流動負債

 流動資産とは、説明する必要もないと思いますが、
現金預金、受取手形売掛金、商品、仕掛品、未収金、未払い費用等
の、1年以内に現金化される資産で、

 流動負債とは1年以内に支払わなければならない、支払手形、
買掛金、短期借入金、未払金、預り金等です。

 流動比率100%は流動資産と流動負債がバランスした状態
を表しています。

 しかし、流動比率が150%で安全と言われていても倒産
する会社はあります。

 仮に、次のような数字の会社があったとします。
   借方              貸方

 現金預金    1,000千円  支払手形  12,000千円

 売掛金    10,000    短期借入金 10,000

 商品     50,000    

 流動資産計  61,000    流動負債  22,000

 この会社の流動比率

 61,000/22,000=277%

 277%もあって超安全な筈です。

 しかし、商品が売れ残り、山のような在庫を抱えて資金が逼迫
しています。

 P/Lは黒字を維持していても、売れ残った50,000千円の
商品が価値0円なら、実質は大赤字です。

 この段階で銀行の貸しはがしに遭えば、資金が詰まって一気に
倒産でしょう。

 昨年からの1部上場のマンション業者が次々に倒産したのも
このパターンです。

 画一的に流動比率が200%あるから安全などと経営分析
することの危険性を分かっていただけたでしょうか。

 B/Sの色々な指標の中で流動比率が一番いい加減な指標だと
私は考えています。

 資金の安全性、流動性を説明する代表的な指標と言われて
いますが、使うのに最も注意をようする指標でしょう。

 それでは、資金の安全性、流動性を見るのに最も適した
指標は何でしょうか?

 それはこのブログで近いうちに説明したいと考えます。