そもそも、私が税理士への道に進んだきっかけはサラリーマン時代、
工作部という機械が唸る職場から経理部に転勤になったことです。
丁度、20代の私と同じ世代の若い連中が大勢いて、皆、税理士や
公認会計士を目指して勉強しているという環境でした。
私も仲間に入れてもらって税理士試験に挑戦し始めました。
人の運命はどこでどう変わるかわかりませんね。
思い返せば、私は良き人々にめぐり合い、良い運に恵まれてきたと
つくづく思います。
結婚した翌年、最初の科目「簿記論」を受験しました。
毎日仕事が終わると部屋に籠もって勉強です。新婚だというのに
ワイフは文句も言わず協力してくれました。
見事合格してワイフと喜んだものでした。2人で協力して合格を
勝ち取った心境でした。
税理士試験の朝、家を出る前に必ずかける音楽がベートーベンの
<交響曲3番 英雄>です。
長い曲なので全曲は聴きません。第4楽章だけです。
最初はチャイコフスキーの<くるみ割り人形>を思わせるような、
森の中を妖精たちがいたずらっぽく飛び跳ねるような、静かで繊細で
ファンタスティック旋律から始まり、やがて、ヴァイオリンが、チェロが、
トランペットが、ベースが、ドラムが響き合い共鳴し合い、圧倒的な
オーケストラの演奏でクライマックスを迎えます。
この勇壮な行進曲を聴いて心を奮い立たせ、試験に臨むのです。
あの曲を聴くと、何かもう、怖いものはないという心境になるから
不思議です。
所謂、トランペットが高らかに鳴り響く行進曲というものは沢山
ありますが、ベートーベンの<英雄>には敵わないと思っています。
広がりと深みが違います。