税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価 その2


 前回は角地の例を紹介しました。

 今回は、正面路線と背面路線の地区区分が異なる
場合です。

 正面路線が属する地区の二方路線影響加算率
を使用し、加算調整を行います。

 



 上図の計算をしてみましょう。


①、正面路線価  奥行価格補正率

 800,000円×1.00 = 800,000円

②、二方路線影響加算後の路線価

   背面路線価 *1   *2  
  ①+200,000円×1.00×0.05 = 810,000円

*1、正面路線の地区の奥行価格補正率

*2, 正面路線の地区の二方路線影響加算率

③、     地積        相続税評価額

 810,000円×900㎡= 729,000,000円

 

参照


   奥行価格補正率


奥行距離    普通商業、併用住宅 普通住宅

28~32m未満  1.00               0.95



      二方路線影響加算率

普通商業、併用住宅    0.05

普通住宅         0.02


 

地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価 その1

 

 

地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価、その1


 間違えやすい財産評価 特集第8弾!

 地区とは、財産評価基本通達14-2に記載されている7つの地区です。

 ①、ビル街地区、

 ②、高度商業地区、

 ③、繁華街地区、

 ④、普通商業、併用住宅地区、

 ⑤、普通住宅地区、

 ⑥、中小工場地区、

 ⑦、大工場地区


 路線価の地区が異なる2以上の路線に宅地が接する場合は注意が必要です。

 上図のように、高度商業地区と普通住宅地区の2つの地区に接している
場合の「奥行価格補正率」及び「側方路線影響加算率」は正面路線の地区
のものを適用します。


 上図の宅地の価額を計算してみます。



正面路線価    側方路線価 *1*2  地積   評価額

(1,000,000円×1.0+300,000円×1.0×0.10)×1,200㎡=123,600,000円


*1、高度商業地区の奥行価格補正率を使う、

*2、高度商業地区の側方路線影響加算率を使う、


 奥行価格補正率 高度商業地区  普通住宅地区

28~32m未満   1.0     0.95

40~44m未満   1.0     0.91

 側方路線影響加算率 角地の場合

 高度商業地区    0.10

 普通住宅地区    0.03
 

無道路地が「無道路地評価」出来ないケース!


 間違えやすい財産評価 特集第7弾!

 道路に接していないから、この宅地は無道路地評価
だな、と早合点すると大きなミスを犯すことになります。

 無道路地でも無道路地評価できないケースがあるからです。

 まず、無道路地とはどのような土地でしょうか?

 無道路地とは、次のような土地を言います。(評基通20-3)

1,建築基準法上の道路に接していない宅地、

2,接しているが、間口が接道義務を満たしていない宅地、


 これらの土地は建物を建てられない土地、又は、既存建物
の建て替えが出来ない土地、です。

 そこで、無道路地評価では、

 A、通常の不整形地評価等の計算で算出した金額から、

 B、その価額の40%の範囲内において、建築基準法上の道路に
達するまでの最小限の間口距離の要件に基づいた通路の価額
(通路開設費)を控除します。



 無道路地評価の計算については過去のブログに掲載されて
いますので、参照してください。


 さて、ここで問題なのは、無道路地なのに無道路地評価
できないケースがあることです。

 1つは、前面の土地が相続人の土地の場合、

  建築基準法の道路と対象地の間にその対象地を取得
 した相続人の土地が存在する場合、この場合は通路開設費
 が生じません。

  従って、通路開設費を控除する無道路地評価に該当
 しません。


 2つめは、地役権等の通行権のある土地

  前面が他人の土地でも、その他人の土地に対して、囲繞地
 通行権以外の地役権や賃借権等を設定して通行出来ている場合


  も無道路地に該当しません。


 あと、

  都市計画区域外に所在する土地、

  水路占用許可を得て設置した通行路橋がある土地、


 がありますが、滅多にないので説明を割愛します。
 

エルビスプレスリー「ハートブレイクホテル」ロックの原点!

 

https://i.ytimg.com/vi/nGgtn4r0SII/mqdefault.jpg


www.youtube.com

 

 エルビスプレスリー「ハートブレイクホテル」

 

 昭和30年代でしたでしょうか、プレスリーが登場し、

ロックがブームになりました。

 

 プレスリーで私が最も好きな曲が「ハートブレイクホテル」です。

 

 一番、ビートが効いていて、今、聴いてもしびれますね。

 

 日本では、銀座ACBというジャズ喫茶に、平尾昌晃、ミッキーカーチス

山下敬二郎らが人気を博し、女学生が押し寄せていました。

 

 

相続税の納税猶予(法人版)チェックリスト

 納税猶予は贈与税の納税猶予をしておくのが正しい順序

だと考えますが、突然、相続が発生する場合もありますので、

 

 今回は、特例措置を受ける相続税の納税猶予(法人版)

のチェックリストを作成してみました。

 

A、納税猶予を受けるための手続き

①、特例承継計画の作成、提出、

 会社が作成しーー認定支援機関が所見を記載--都道府県庁

 (大抵の公認会計士、税理士は認定支援機関の資格を所有しています。)

 都道府県知事の確認を受けておく、

 2023年3月31日まで(特例措置を受けるための期限)

②、自社株式の相続

  後継者は相続開始時において役員であること、

  後継者は相続開始から5カ月後時点で代表権を有すること、

  *、相続発生後に特例承継計画と相続税納税猶予の認定申請書
   を同時に提出することも可能、
  

③、納税猶予の認定書の作成、申請

  相続開始の翌日から5カ月~8ヶ月以内に申請し、
 認定を受ける。



 会社ーー税理士等ーー都道府県庁

、税務申告書提出

 会社ーー税理士等ーー所轄税務署

  相続税の納税猶予額に見合う担保を提供、担保は通常、
 対象株式の全部を提供すれば担保提供として認められる

 (みなす充足と呼ばれる)


特例措置の認定要件

 

 


 特例措置を受けるためには、以下の3つの条件を満たす

必要があります。

 1,会社の要件、2,先代経営者の要件、3,後継者の要件

A、会社の要件

①、中小企業者であること、

②、上場会社等、風俗営業会社でないこと、

③、資産保有会社等に該当しないこと、

④、常時使用する従業員が1人以上いること、

⑤、特定特別子会社が上場会社等、大会社又は風俗営業会社でないこと、


B、先代経営者の要件

①、会社の代表者であったこと、

②、相続開始の直前において、現経営者と現経営者の親族で総議決権数
 の過半数保有しており、かつ、これらの者の中で筆頭株主(後継者を除く)
 であったこと、

③、特例承継計画に記載された先代経営者であること、

④、既に特例措置の適用に係る贈与をしていない事、


C、後継者の要件


①、相続開始の直前において役員であり、相続開始から5カ月以内に代表者
 になっていること、


②、(後継者1人の場合)

  同族関係者の中で最も多くの議決権を有していること、

③、その会社の株式について、一般措置の適用を受けていないこと、

④、特例承継計画に記載された後継者であること、


「囲繞地通行権」の通行料はいくらが妥当か?

無道路地から囲繞地を通行して公道に至るまでの権利を
囲繞地通行権」といいます。

 これは前回説明しました。

 さて、ここで2つ問題があります。

①、、通行の場所及び方法は、必要で、かつ、他の土地の
  損害が最も少ないものを選ぶこと、

②、 通行権を有する者は、その通行する土地の損害に
  対して償金を支払うこと、


 以上、2つの問題が民法で定められています。

 ①はさておき、②の支払う償金の額です。

 民法では、いくら支払いなさいとは規定がありません。


 色々、調べると、次のような方法があることが分ります。


1,近隣の相場を参考にする、

  近隣に囲繞地があって、通行料が分っていれば参考に
 なります。

  しかし、実際には近隣に探すのは中々、難しいでしょう。

2,土地家屋調査士不動産鑑定士に鑑定を依頼して、通行料
 を決める、


   この方法は高額な鑑定料を支払う必要があるという難点
  があります。

3,近隣の駐車場の駐車料を参考にする、

  建築基準法で定められた接道義務は幅2メートルです。

  駐車場の幅は2.3m、奥行5.5mが大体標準の大きさ
 ですから、これを基準に償金の額を決めていきます。


  囲繞地通行権は、契約がなくても民法で定められた権利
 ですが、

  出来れば、賃貸借契約などの形式で、無道路地所有者と
 囲繞地所有者が通路の幅や位置などの条件で合意する方が
 問題が起こりにくいと思われます。

  この場合は「通行地役権」となり、税法の扱いが違ってきます。

  

囲繞地(いにょうち)通行権とは?

囲繞地(いにょうち)通行権とは?

 民法では他人が所有する土地に囲まれた土地を「袋地」、税法では無道路地といいますね。

 

 そして、袋地を囲んでいる土地を「囲繞地」といいます。

 

 囲繞地通行権とは、

 公道に至るための他の土地に通路をつくる権利です。

 民法で認められた権利で、囲繞地の所有者は拒否する
ことが出来ないとされています。

 「囲繞地通行権」は当事者の意思や権利関係は影響しない
 物権です。


 民法210,211、212、213条に規定されています。

 簡単にまとめると、次のようになります。

1,他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道
 に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行する
 ことが出来る。

2,そのための通行の場所及び方法は、必要で、かつ、他の土地
 に損害の最も少ないものを選ぶこと、

3,通行券を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して
 償金を支払う。

4,償金を支払う必要がない場合がある。

 ①、分筆により袋地になった場合、

 ②、分筆譲渡により袋地になった場合、
    土地の所有者がその土地の一部を譲渡したため、公道に
   通じない土地が生じた時は、その土地の譲受人は、公道に
   至るため、譲受人である所有者の残地のみを通行することが
   出来る。
    
    この場合、償金を支払う必要はない。                                                                                                                                                                                                
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 参照 民法 物権

(公道に至るための他の土地の通行権)                                                              
第二百十条 
 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる

2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、
又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

第二百十一条 
 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による。                                                                             
通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       
最も少ないものを選ばなければならない

2 前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、
  通路を開設することができる。

第二百十二条 
 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の
損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために
生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。

第二百十三条 
 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、
公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。
この場合においては、償金を支払うことを要しない。

2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した
  場合について準用する。