税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

建築中の家屋の評価!

 

 

①、   財産評価基本通達91には、次のように規定されています。

 

  「課税時期において現に建築中の家屋の評価は

その家屋の費用現価の100分の70に相当する金額によって評価する。」

 

具体的には、例えば、

 

請負金額が3000万円で工事の進捗度が30%の家屋の相続税評価額は、

 

請負金額  進捗度   

3000万円×30%×70%=630万円

 

 

相続税評価額は、630万円になります。

 

 

②   、前払金(手付金)がある場合

 

A,前払金が1000万円ある場合

 

 上記の例で前払金があると、

 

工事の費用現価は、

3000万円×30%=900万円

 

ですので、

 

1000万円―900万円=100万円

 

100万円が前払金として相続財産となります

 

B,前払金が600万円の場合、

 

上記の例で前払金が600万円ですと、

 

費用現価  前払金

900万円―600万円=300万円

 

300万円は未払金として債務控除の対象となります。

 

手付金が費用現価を超える場合は前払金として相続財産と

なり、不足の場合は未払金として負債で控除されます。

倍率方式で、登記簿謄本の地目と現地が異なる場合!

 

1, 登記簿謄本の地目が現地と異なる場合

 

 地方の別荘地を評価しようとする時、

現地は造成されていて建物が建っているにも拘わらず、

地目は「山林」になっている場合がよくあります。

 

 この時の相続税評価額をどうするかが問題です。

 

 まず、宅地とは何でしょうか?

 

 国税庁のホームページには、

 

「宅地とは、建物の敷地及びその維持もしくは

効用を果たすために必要な土地」と書かれています。

 

 何やら難しい表現ですが、

 具体的には、水道、電気が引かれていて人が住むに

足る建物を建てられる土地、という事

ではないかと私は考えます。

 

 又、地目の判定は全て課税時期の現況によって判断すること

とされています。

 

 固定資産税評価証明書の評価額に、国税庁の倍率表で「山林」の

評価倍率を乗じると異様な数値が算出されます。

 

 その時は、その土地の近隣の売買相場を調べます。

 

 税務当局の考える相続財産額は、時価の80%です

 

 試みに、固定資産税評価額に「宅地」の評価倍率を乗じると、

近隣の時価相場の80%近い数字になります。

 

 その土地の評価は「山林」ではなく、

宅地の数値を採用すべきです。

土地は権利関係別に評価します!

 

 

土地の上に存する権利には、

 

1,        地上権 2,区分地上権 3,永小作権 4、区分地上権に準ずる地役権

5,借地権 6,定期借地権等 7,耕作権 8,温泉券 

9,賃借権 10,占有権

 

 以上の10種類が挙げられます。

 この内、頻度の高いのは、区分地上権、借地権、賃借権で、主に、

宅地において利用されています。

地上権は滅多に出てきません。区分地上権は高圧線下の契約として

時々、お目にかかります。

 

宅地は利用区分別に応じて評価します。

利用区分とは宅地を権利関係別に分けたものです。

 

利用区分には、

 

自用地

貸宅地

貸家建付地

借地権

私道

貸家建付借地権

転貸借地権

 

等があります。

 

 貸家が建っている土地は借地人に借家権という権利が存在するので、

権利別に区分する原則により

自宅とは区分されて、貸家建付地という利用区分となります。。

 

 

次に、3つの地番が次のように分かれている場合、利用区分に

応じて評価します。

 

 1306-1の地番は貸家の建物で利用区分が違うので、100㎡

貸家建付地として評価し、

 

 1306-2,1306-3は自宅なので、200㎡として

自用地として評価します。

 

 地目は全体が宅地ですが、利用区分が違う時は利用区分ごとに

評価します。

 

 利用区分の組み合わせでの判定を記すと、次のようになります。

 

①、自用地と自用地ーー全体を1画地として評価します。

 

②、自用地と貸家建付地ーーそれぞれ別の評価単位とします。

 

⓷、貸宅地と貸家建付地ーーそれぞれ別の評価単位とします。

 

④、貸宅地ーー借地人ごとに1画地の宅地とします。

 

⑤、貸家建付地ーー貸家の敷地ごとに1画地として評価します。

 

⑥、借地権ーー全体を1画地として評価します。

 

⑦、使用貸借ーー全体を1画地として評価します。

土地は一画地を評価単位とします!

土地は一画地を評価単位とします

 

一画地とは、どのような意味でしょうか。

国税庁のホームページでは、次のように説明

されています。

 

利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。

例えば、所有する宅地を自ら使用している場合には、

 

①    、居住の用か事業の用かにかかわらず、その全体を

1画地とする。

 

②    、所有する宅地の一部について借地権等を設定させ、

他の部分を自己が使用している場合には、それぞれ

の部分を1画地とする。

 

 ⓷、貸家建付地を評価する場合において、貸家が数棟

  あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地

  の宅地とする。

 

  国税庁のホームページでは、以上のように説明されています。

 

  要するに、利用の単位で評価するということで、

細かく何筆に地番が分かれていても、全てが自宅に

使用されていれば、たとえ、1000㎡でも1つの宅地

として評価するということです。

 

 

 

下の図は自宅を表していますが、土地の登記簿謄本を

見ると、3つの地番に分かれています。

 前記の説明のように、宅地の評価は一筆単位で評価する

のではなく、利用の単位となっている一画地の宅地ごとに

評価します。

 

 

 

     300c

 

 

 

1306-1

 

80㎡

 

 

1306-2

 

100㎡

 

1306-3

 

100㎡

 

 

合計の280㎡を自宅として評価します。

 地目は宅地だから、一画地全体の合計で評価します。

 

 

土地の評価単位を決める3つのポイント!

税理士試験でこれを間違うと合格しないという2つの項目があります。

それは「相続人」「評価単位」です。

 

 評価単位というと、言葉は難しいですが、要するに、

土地がいくつもあった場合、どの土地を評価するかを決めることです。


 ポイントは大きく3つに分けられます。


1,地目別に評価する、


2,利用区分別、又は、権利関係別に評価する、


3,取得者ごとに評価する
 

1,   土地の価額は次に掲げる地目の別に評価します。

 

 地目とは、財産評価通達に明記されている、以下の9項目です。

1,宅地

2,田

3,畑

4,山林

5,原野

6,牧場

7,池沼

8,鉱泉

9,雑種地

 

①     、原則

 

 土地は原則として地目ごとに区分して評価します。

②     、例外

 但し、2つ以上の地目が一体として利用されている場合は主たる

地目からなるものとして、一体評価します(財産評価基本通達7但し書き)

 

 

 

2,土地の価額は、地目の別に評価する具体例

 原則

宅地

自宅 400㎡

農地  600㎡

 

畑 600㎡は畑で地目が違いますから、600㎡を

畑として評価し、

 

 自宅400㎡は宅地として評価します。

 土地全体を宅地として1000㎡で評価しません。

 

例外として2つ以上の地目が一体として利用されて

いる場合は、一体評価します。

宅地

自宅 400㎡

雑種地

自宅

駐車場100㎡

 

上記の場合は、駐車場が自宅と一体で利用されているので、

土地全体500㎡を宅地として評価します。

 

相続財産から控除できる葬儀費用、出来ない葬儀費用

葬式費用は相続開始時の債務ではないけれど、


相続財産から控除することができます。



 相続税法では第13条の債務控除のところに、

被相続人の葬式費用」と1行書かれているだけですが、


 くわしいことは「相続税基本通達」に記載されています。


 簡単に、控除できるもの、出来ないものを列挙してみます.


1、控除できる葬式費用



 ①お通夜、本葬費用


 ②お寺さんへのお布施、読経料、戒名料


 ③飲食代


 ④葬儀場までの交通費


 ⑤手伝ってくれた人々等への謝礼


 ⑥埋葬、火葬、納骨の費用


 ⑦遺体運搬費用






2、控除出来ない葬式費用



 ①香典返しの費用(香典収入も除かれます)

 ②初七日、四十九日の法要の費用

 ③墓碑、墓地買入費




注1、初七日は、本葬儀と一緒に行う場合がありますが、

  この場合は本葬儀と区別できないので控除対象として

 構わないと考えます。


 葬式費用で一番多い質問は、


①香典収入・香典返し費用、墓碑・墓地購入費用、交通費です。


参照

相続税基本通達

(葬式費用)

13-4 法第13条第1項の規定により葬式費用として控除する金額は、


次に掲げる金額の範囲内のものとする。(昭57直資2-177改正)



(1) 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨


又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを


行うものにあっては、その両者の費用)


(2) 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に


照らして相当程度と認められるものに要した費用


(3) (1)又は(2)に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で


通常葬式に伴うものと認められるもの


(4) 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用


(葬式費用でないもの)

13-5 次に掲げるような費用は、葬式費用として取り扱わないもの

とする。(昭和57直資2-177改正)


(1) 香典返戻費用

(2) 墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料

(3) 法会に要する費用

(4) 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用


(墓碑の買入代金)

13-6 被相続人の生存中に墓碑を買い入れ、その代金が未払で


あるような場合には、法第13条第3項本文の規定により

、当該未払代金は債務として控除しないのであるから留意する


相続財産から控除できる債務!

 


 相続が開始すると、土地や預金と言った財産を引き継ぐ他に、

借金や未納税金などの債務も引き継ぐことになります。

 相続税計算ではこの債務をもれなく計上することによって、

相続税を軽減することができます。

Ⅰ、具体的に、どのような債務があるか列挙してみますと、

 1,借入金


 2,未納の固定資産税、所得税等の税金


 3,翌月払い等になっている公共料金の未払、電気、ガス、水道代等


 4,事業上の買掛金、未払金


 5、不動産賃貸の場合は預かり敷金、保証金


 6、未払医療費


 7、その他の未払金、、亡くなった方が生前に使用したクレジットカード分や、

    月賦で購入した商品の未払等

 いずれにしろ、本人しか分からない未払もあるでしょうから、
相続開始後の預金から天引きされている金額を詳細にチェックすることを

お勧めします。

Ⅱ、未払医療費

 亡くなった時、未払だった医療費が控除の対象となります。

 亡くなる前に払った医療費は所得税の医療費控除の対象となるため、

区別が必要です。

Ⅲ、借入金

 金融機関等の第三者からの借入金は債務控除の対象となります。

 控除できる債務は「確実なものに限る」と相続税法で規定されていますが、
特に書面でかわされたものでなくても、確実に弁済すべきものであれば控除
できます。


Ⅳ、連帯債務

 被相続人が連帯保証人になっていて、被相続人が負担すべき分の債務は控除
対象となります。

Ⅴ、債務控除の対象とならない債務

 ①、墓地や仏壇を購入した未払金

 これらは相続税法上非課税財産となっているため、生前に購入した未払金は
債務控除できません。

 ②、相続財産の維持管理費用、遺言執行費用

 相続開始から遺産分割が決まるまでの相続財産の維持管理費用や遺言執行
のための費用、例えば、弁護士や司法書士への支払い等は、相続人が負担
すべき費用なので、債務控除の対象となりません。