まず、使用人兼務役員の定義をはっきりさせましょう。
使用人兼務役員とは
役員の内、法人の職制上の地位を有し、常時使用人としての職務に
従事する者をいいます。
職制上の地位とは、部長とか課長とかです。
役員でも平取締役だけが対象です。つまり、取締役営業部長とか
いう名称です。
次の者は使用人兼務役員になれません。
社長、代表取締役、専務取締役、常務取締役、みなし役員。
こんな人員構成の会社があったとします。
代表取締役 ご主人
取締役 奥さん
取締役 娘
社員 5人
役員の賞与は、「事前確定届出給与」の規定に基づき、期の初めに
あらかじめ届出なければ経費処理できません。
しかし、業績が悪化すれば賞与を全額取るのはつらいものがあります。
ここで、使用人兼務役員の制度を使います。
娘は経理を担当しているので、単なる取締役ではなく、取締役経理部長
という職制上の肩書きをつけることにより使用人としての賞与を
取ることができます。
この場合、社員の賞与の最高額が限度となります。
例、
社員A 50万円
社員B 20万円
社員C 30万円
社員D 60万円
社員E 10万円
最高は社員Dの60万円なので、娘に80万円支給した場合、60万円
は経費処理でき、20万円は役員分として損金不算入となります。
これを「足切り計算」と呼んでいます。