前回、中小企業の経営分析は大企業のそれとは
異なる、と書きました。
損益計算書の分析を考えてみましょう。
損益計算書には5つの利益があります。
1、 荒利益=粗利益=売上総利益
2、 営業利益
3、 経常利益
4、 税引前当期純利益
5、 当期純利益
この内、中小企業の経営分析で使えるのは荒利益
だけです。
営業利益はその前の段階の販・一で、役員報酬その他
の経費が節税用に調節されるので、分析しても意味が
ありません。
例えば、法人税率が10%に下がりそうだから、
役員借入金も溜まっていることだし、役員報酬を
今期は半分にしよう、とか、
利益が出そうだから社員を海外旅行に連れていくか、
とか、
車を買い替えるか!とか、
様々に調節されて出てきた数字が営業利益です。
大企業では、営業利益は少なくとも5%以上は必要だ、
何故なら、支払金利が2.5%かかるからその倍の数字
が望ましい、なんてことになります。
中小企業は銀行借入れの予定がなければ平気で営業利益
を赤字にします。
そんな調子で営業利益が使えないわけですから、
当然、その下の利益である経常利益、税引前当期純利益、
当期純利益も分析不能となります。
荒利益だけは大企業も中小企業も同じです。
街の小さなカフェも、大資本のスターバックスも同じ
荒利益率で比較出来るわけです。
「スターバックスの荒利益率に比べて、うちの荒利は
ずいぶん悪いわ、きっと、仕入れが違うのね、大資本
で安く仕入れてくるんだろうね」
といった具合です。