税務会計三直線

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何故、配当還元方式があるのか?{非上場株式の評価}

タイトル以外のもう1つの疑問は、何故、資本還元率は10%なのか?です。

非上場企業の株価は通常の取引価額がないので、評価方法
を定める必要があります。

上場企業は会社の内容に従って、相対的に株価が評価
されています。

例えば、5201 旭硝子 の株価は571円です。

旭硝子の企業内容は、

1株当たり純資産価額  698円
1株当たり配当金     26円
PBR(純資産倍率)    0.78倍
配当利回り        4.55%

こういう内容に対して、571円という株価が
つけられているわけです。

非上場企業にはこうした株価がつけられる市場がありません。

そこで、適切に株価を評価する方法が考えられました。

1、原則的評価方式
2、配当還元方式

です。

この方法を作った人は色々考えて、公平に、実態に近く、
様々な人が納得いくように作ったことでしょう。
 
1、何故、配当還元方式があるのか?

会社をより正確に評価するために、大会社、中会社、小会社
に分けたり、<L>、というものを作ってより細かに分類
したり、
 
類似業種比準価額と1株当たり純資産価額、とに分けたり、

色々、工夫しています。

しかし、これらはすべて原則的評価方式のものです。

一番大きな分類は<配当還元方式>を採用したことでしょう。

非上場企業の株主は大きく2つに分かれます。

会社の所有権、経営権を握る支配株主と、

単に、配当を期待するだけの、取引先や従業員といった
少数株主です。

両者は当然、区分されねばなりません。

そこで、原則的評価方式に代えて、配当のみに着目した
特例的評価方式である<配当還元方式>が採用されています。
 
2、何故、資本還元率は10%なのか?

配当還元方式の算式は、

年配当金額÷10%×1株当たりの資本金額/50円
 
この算式は簡略化すると、次のようになります。
 

1株当たり資本金額×配当率/10%
 

この算式の意味は、年1割配当をしている会社を
標準としているということです
 
 
かなり高めに設定されていますね。

旭硝子は4.55%で高い方です。市場平均は2%台
ではないでしょうか。

これだけ高く設定しておけば大丈夫だろうということでしょう。

低くすると株価が高めになります

たとえば、5%にすると、株価は倍になることになります。
 
1株あたり資本金が1000円、配当率が5%の会社の
株価は、
 

1000円×5%/10%=500円
 

1000円×5%/5%=1000円
 

倍になりますね。