税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

相続税、贈与税の税率差を使った節税!

今回は、相続税贈与税の税率差を使った節税策
の説明です。

 これはどういうことかと言いますと、
 

 相続税を試算したところ、30%の税率のゾーン
 に相続財産がある場合、

 贈与税の20%以下の税率ゾーンで贈与すれば、
 10~20%の節税になる、ということです。
 
 110万円の基礎控除を使って節税する方法は
誰でも知っていて実行しますが、
 
 税率差を使う方法は意外と知られていないし、
実行している人をみたことがありません。
 
 考えられる理由は、
 
 相続税法に詳しくないので、自分の財産総額が
どの税率ゾーンにあるのか知らない、
 
 でしょうか?
 
 こんなイモな方法なのにね!
 
 言わば、<コロンブスの卵>的な節税法かもです。

贈与税相続税の現在の税率は次のようになっています。

  贈与税の税率      税率    控除額 
  200万円以下の金額    10%    --
  300万円以下の金額    15%    10万円 
  400万円以下の金額    20%    25万円
  600万円以下の金額    30%    65万円

  相続税の税率     税率    控除額
  1,000万円以下     10%    --
  3,000万円以下     15%    50万円
  5,000万円以下     20%    200万円
  10,000万円以下     30%    700万円
  30,000万円以下     40%   1,700万円

2015年から相続税基礎控除額は、

3,000万円+(600万円×相続人数)=基礎控除

となる予定です。

ただ、これは民主党案をそのまま引き継いだ形で
自民党税調が先日発表したもので、確定したわけでは
ありませんが、

いずれにしろ減額してくるでしょう。

何故なら、5,000万円という数字はバブル期
のものですから、

20年もデフレが続いた現在の経済状態にマッチ
しないからです。
 

基礎控除額が減額されれば、高い税率のゾーンに
相続財産が位置するので、

ますます、こんな簡単な節税策も生きてくる筈です。

税率差の節税を具体例で示してみましょう。

例、

1、相続人 2人

2、取得財産     190,000千円
 
  債務・葬式費用  20,000千円
 
  課税価格     170,000千円
 
3、相続税の総額  
 
 ①、170,000-(30,000+6,000×2)=128,000千円
 
 ②、128,000×1/2(64,000)×30%-7,000=12,200千円

   12,200×2人=24,400千円ーー相続税の総額
 
上の例ですと、相続税の税率は30%の領域になります。

もし、上記の財産を

 3,100千円ずつ2人に5年間贈与したら、

 ①、贈与の総額 3,100×2×5年=31,000千円

 ②、支払う贈与税額は、
 
  (3,100-1,100)×2×5年×10%=2,000千円

4、相続税の総額

  取得財産 190,000-31,000=159,000千円

  債務・葬式費用        20,000千円

   課税価格         139,000千円

     基礎控除
139,000 - 42,000 = 97,000千円

97,000×1/2(48,000)×20%-2,000=7,600千円

7,600×2人=15,200千円ーー相続税の総額

贈与を行う前の相続税額は、24,400千円、

贈与を実行した後の税額は、贈与税も含めて、

 贈与税    2,000千円

 相続税    15,200千円

 合計     17,200千円

節税額は、

 24,400千円ー17,200千円=7,200千円
 
 7,200千円も節税しました。
 
もっとも、この内、2,200千円は基礎控除
ですが、
 
1,100×2人×5年×20%=2,200千円
 
 
 この贈与の方法で注意すべき点は、
 

①、相続開始が近づいたら、配偶者への贈与は課税された
  贈与税を回収するすべがないので避けることです。

    理由は、配偶者の税額軽減を使って、配偶者の
  税額がゼロになるからです。

    3年内贈与財産として加算されても、

    相続税贈与税額控除が空振りします。