税務会計三直線

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「使用貸借」相続税及び贈与税の取扱い!

前回は、使用貸借の民法上の定義を紹介しました。

今回は、相続税贈与税の取扱いについてのお話です。

土地の無償使用は、相続税法第9条のみなす贈与規定によって、
贈与税の課税対象となる筈です。

しかし、現在は、使用貸借に係る使用権の価額は
として取り扱うことになっています。

事実、かなり以前は課税されていました。

何故、零になったかというと、、使用貸借について
納税者と税務当局と争った事件があり、

昭和43年11月25日に大阪地裁で

借地権割合で評価するのは合理的でない、という判決が出たからです。

この判決を受けて、国税庁は昭和48年11月1日に

「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」

という通達を出しました。

昭和43年11月の裁判について少し触れると、

事件の内容は、

夫の土地を妻が無償で借り受けて
アパートを建てたので、

税務署が妻に対して借地権相当額の利益を受けた
ものとして贈与税を課税したところ、
納税者がそれを不服として訴訟を起こし、納税者の主張
が通りました。

判決の理由は、

使用貸借は借地権のような借地法により手厚く
守られているものとは無関係であり、

極めて劣弱な保護しか与えられていないので、借地権割合
をもって評価するのは適当ではない、というものです。

さて、昭和48年11月1日の通達は通達1から通達7まであり、
通達のタイトルを列挙すると、次の通りです。

1、使用貸借による土地の借り受けがあった場合

2、使用貸借による借地権の転借があった場合

3、使用貸借に係る土地等を相続又は贈与により取得した場合

4、使用貸借に係る土地等の上に存する建物等を
  相続又は贈与により取得した場合

5、借地権の目的になっている土地を当該借地権者以外の
 者が取得し地代の授受が行われないこととなった場合

6、経過的取扱いーー土地の無償借受け時に借地権相当額の
  課税が行われている場合

7、経過的取扱いーー借地権の目的となっている土地を
 この通達の施行前に当該借地権者以外の者が取得している場合

以上の7項目です。

次回は、この通達の内容を紹介いたします。



参照

贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合ーーその他の利益の享受


第9条 第5条から前条まで及び次節に規定する場合を除くほか、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)
を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。ただし、当該行為が、当該利益を受ける者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈与又は遺贈により取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。