最初に用語の定義を明確にしておきましょう。
人件費とは、給料だけでなく、賞与、通勤手当、法定福利費、厚生費、
その他、社員を採用すると負担するすべての費用です。
経営分析の本では、<労働分配率=人件費/付加価値>となっています。
付加価値とは何でしょうか?二つの考え方があります。
日銀方式(加算法)
付加価値=経常利益+人件費+賃借料+金融費用+減価償却費+租税公課
中小企業庁方式(控除法)
付加価値=売上高-外部購入価値
製造業の場合
付加価値(加工高)=売上高-(材料費+買入部品費+外注費)
建設業の場合
付加価値(加工高)=完成工事高-(材料・部品費+外注費)
卸売業・小売業の場合
売上総利益=売上高-売上原価
私は中小企業庁方式を採用していますので、付加価値は即ち、
限界利益のことになります。
人件費の考え方は社員と経営者では当然違うでしょう。
社員は1円でも給料が高いほうがいい筈です。
しかし、経営者は違います。人件費は会社の付加価値に
対して適性でありたいと考えます。
現在の日本の経済情勢では、給料が毎年定期昇給していたら、
いずれ赤字経営に陥る筈です。
戦後の日本のように、高度成長期には定期昇給を
吸収して会社は伸びていけたでしょうが、今は違います。
経済成長率は横ばい、もしくはマイナスです。
前日の本屋さんのP/Lで、売上70,000千円が、
売り場20坪として、坪当たりの売上3,500千円は
ロケーションからして、まあまあだとすれば、
限界利益13,440千円を大幅に増やすことは難しいはずです。
そして、人件費8,000千円が、毎年上昇したら、
今に限界利益を超えてしまいますよ(笑)
そこで、限界利益と人件費のバランスを常に取らなくては
ならなくなります。今の世の中、全ての中小企業に
この問題は当てはまると思いますよ。
確保すること、
限界利益と人件費のバランスを保つこと、でしょう。