これは本当にあった話です。
家賃所得が何千万円とある地主さんです。
税金が多くてたまらないというので、新しく建てたマンションを妻名義に
しました。
土地はご主人名義、マンションは妻名義です。
そうすると、土地は使用貸借で借地権課税がなく、マンション収入は
妻の所得になります。
ご主人の所得税率は37%、妻の所得税率は20%、ですから、相当の
節税になりました。
ここまでは万々歳でした。
ところが、数年も経たない内にご主人が亡くなりました。
今度は相続税の話です。
土地と建物がご主人名義なら貸家建付地評価で
借地権割合 借家権割合
70% * 30% =21%
土地価額が21%も減額になります。
ところが、使用貸借は更地評価ですから、21%の減額がありません。
土地価額 減額されるべき金額
150、000千円 * 21% = 31,500千円
相続税率
31,500千円 * 50% = 15,750千円
15,750千円相続税が高くなりました。
数年間で節税された所得税等は3,000千円にも満たないので、
12,000千円位は相続税が高くついたわけです。
名義を分散すれば、たしかに所得税の節税になりますが、相続税を
視野に入れると、高齢になってからの、この節税策は選択が難しい
ですね。
用語解説
使用貸借ーーーー土地を無償で使用収益すること。借主と貸主が親族
関係であること。通常、他人が土地の上に建物を建てると
借地権が発生して、譲渡所得税が課税される。
貸家建付地ーーーー貸家が建っている土地。相続税評価上、減額がある。
更地評価(自用地評価)----その土地の価額がそのまま相続税評価
になる。