税務会計三直線

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<比準割合の計算>算式の年利益金額の説明!

 比準要素の配当、利益、純資産価額のうち、今回は
年利益金額について説明します。
 
 類似業種比準価額を求める算式の中で、この年利益金額
が一番難しいかも知れません。
 
 ここが山場ですね。
 
 法人税と財務諸表の知識が少し必要です。
 
 年利益金額は複雑ですので、3回に分けて説明します。
 
 第1回は、算式と算式を構成している5つの数字の説明です。
 
 2回目は、5つの数字の基となる法人税申告書別表の説明、
 
 3回目は、類似業種比準価額の計算明細書に実際に記入してみます。
 
 年利益金額の計算については、財産評価基本通達 183(2)
に記述されています。
 
 5つの数字を必要とします。
 
 それらは、法人税申告書別表の数字です。
 
 必要な数字と、どの別表から数字を求めるかを記して
みますと、
 
 少し難しい表現になるかも知れませんが、なるべく、
財産評価基本通達の記述に近く書いてみます。

1、直前期末以前、1年間における法人税の課税所得金額
  ーーー法人税申告書別表一(一)、別表四
 
2、上記は固定資産売却益、保険差益等の非経常的利益の
  金額を除く、--P/Lの特別利益
 
3、受取配当等の益金不算入額、
  ---別表四、別表八(一)
 
4、同上の所得税
  ーー別表四、別表六(一)
 
5、損金に算入された繰越欠損金
  ---別表一(一)、別表四、別表七
 
そして、1株(50円)当たりの年利益金額の算式は
次の通りです。
 
①-②+③-④+⑤/直前期末の発行済株式数
=1株(50円)当たりの年利益金額
 
例、
 
1、相続開始日 平成23年12月21日
2、A会社の決算期
  平成22年10月1日~平成23年9月30日
3、平成23年9月期の数字
 ①、法人税の課税所得金額 25,000千円
 ②、固定資産売却益  5,000千円
 ③、受取配当等の益金不算入額 300千円
 ④、同上の所得税額  42千円

4、差引利益金額の計算
 25,000-5,000+300-42=20,258千円

参考に、財産評価基本通達 183 の条文を紹介します。
 
183(1)は配当金額についての説明ですが、今回はカット
してあります。
 
この後、(3)がありますが、(3)は純資産価額の記述です。
(3)については後日、説明します。

(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)

183 180≪類似業種比準価額≫の評価会社の「1株当たりの配当金額」、
「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、
それぞれ次による。
(昭44直資3-20・昭53直評5外・昭58直評5外・平12課評2-4外・平15課評2-15外・平18課評2-27外改正)
(1)カット
(2) 「1株当たりの利益金額」は、直前期末以前1年間における法人税
課税所得金額(固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く。)に
、その所得の計算上益金に算入されなかった剰余金の配当(資本金等の額の減少によるものを除く。)
等の金額(所得税額に相当する金額を除く。)及び損金に算入された繰越欠損金の控除額を
加算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)を、直前期末における発行済株式数で
除して計算した金額とする。
ただし、納税義務者の選択により、直前期末以前2年間の各事業年度について、
それぞれ法人税の課税所得金額を基とし上記に準じて計算した金額の合計額
(その合計額が負数のときは、0とする。)の2分の1に相当する金額を直前期末に
おける発行済株式数で除して計算した金額とすることができる。