いよいよ、4つの特例対象宅地等の説明に入ります。
トップバッターは<特定事業用宅地等>です。
少し難しいですが、措置法条文を要約してみます。
読むのが面倒な方は要約の次に簡単な解説をしていますので
そちらを読んで下さい。
それでも十分内容は把握できます。
特定事業用宅地等
被相続人等の事業(不動産貸付業を除く)に供されていた
宅地等で、次に掲げる要件のいずれかを満たす、その
被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの、
イ、 その親族が相続開始時から申告期限までにその宅地等
の上で営まれていた被相続人の事業を引き継ぎ申告期限
まで引き続きその宅地等を有し、且つ、その事業を
営んでいること、
者であって、相続開始時から申告期限まで引き続きその
宅地等を有し、且つ、相続開始前から申告期限まで引き続き
その宅地等を自己の事業の用に供していること、
上の難しい条文を解説すると、要点は2つです。
1、被相続人の事業を親族が引き継ぎ、事業を継続すること、
2、生計一親族がその事業を継続し、その宅地等を自己の
事業の用に供していること、
これを建物所有者別に考えてみますと、
1、建物が被相続人所有
被相続人の事業の用に供されていた宅地等、
建物が被相続人の所有ということ、です。
そして、自己所有の建物で被相続人が事業をしていて、
その土地建物を親族が相続し、事業を継続したということです。
図で示すと、次のようになります。
一般事業
|
事業を親族が
継承
|
申告期限まで継続
|
土地、
被相続人所有
|
継承者が取得
|
申告期限まで所有
|
80%適用
典型的な例は、
父親が自己所有の建物で料理屋を営んでいて、
長男が土地建物を相続し、父親の料理屋を引き継ぐ、
しかも、申告期限まで事業を継続し、宅地も所有し続けた
という例です。
2つ目は父親の建物で生計一親族が商売をしていて、
相続後も申告期限まで事業を継続し、宅地も所有し
続けたという例です。
生計一親族が一般事業 | 生計一親族が事業継続 | 申告期限まで継続 |
土地
被相続人が所有
| 事業継続者が取得 | 申告期限まで所有 |
2、建物が生計一親族所有
宅地等が被相続人の所有であることは、一般要素として
共通のことですが、
建物が被相続人の所有ではなく、
被相続人と生計を一にする親族の所有である場合です。
このケースは2つの場合を紹介します。
1つは、
父親はもう引退しているが、同居する長男が長男所有の
建物で料理屋を経営し、相続開始後、宅地を相続し料理屋
を引き続き経営していく、
しかも、申告期限まで料理屋を経営し、宅地も引き続き
所有していく、という場合です。
図で示すと、次のようになります。
生計一親族所有
の建物で、
生計一親族が一般事業
|
生計一親族が
事業を継続
|
申告期限まで継続
|
土地
被相続人所有
|
事業継続者が取得
|
申告期限まで所有
|
80%適用
但し、地代は無償が条件です。
もうひとつは、
生計一親族の建物で被相続人が事業を経営、というケースです。
土地は父親の所有ですが、建物は同居する長男の所有で、
その建物で父親が料理屋を経営していた、
相続開始後、長男が料理屋を引き継いで経営し、土地も
長男が相続したという場合です。
このケースも特定事業用宅地等として80%の減額があります。
生計一親族所有
の建物で、
被相続人が一般事業
|
生計一親族が事業
を継続
|
申告期限まで継続
|
土地
被相続人所有
|
事業継続者が取得
|
申告期限まで所有
|
但し、このケースは地代・家賃が無償であるという条件が必要です。