税務会計三直線

税務、会計、経営について主に書いていきます。

税法

「代表者退職金」を税務調査で否認されないために!

代表者退職金は金額が大きいために、とかく、税務調査の対象となりやすい。 退職金が否認されると、多額な税金が発生して、そのダメージは計り知れないものがあります。 それでは、退職所得とは何でしょうか? 1、定義 退職給与とは、勤務関係の終了という…

「持分なし医療法人」への移行を考える!

医療法人の顧問先で、規模が大きく、又、地域の医療への貢献度 も高い診療所は、出資のほとんどを所有する理事長の相続が発生 した時、廃業することも出来ず、かと言って、多額の相続税を負担 しても、遺族は何の遺産も取得出来ない、という悲惨な現実が待っ…

後継者の要件、経営者の要件、「法人の事業承継税制」(贈与税)

「法人の事業承継税制」を適用するに際して、適用開始時の要件は3つあることを前回、お話して、最初の<会社の要件>を説明しました。 今回は、残りの2つ、 後継者の要件 経営者の要件 の内、 後継者の要件、について説明いたします。 まず、法人の顧問先…

適用の対象となるための要件!「事業承継税制の特例」(贈与税)

前回は、 贈与から、税額免除までの流れを説明しました。 事業承継税制の特例(贈与税)は、全ての法人が適用になるわけではなく、一定の要件に該当しなければなりません。 主な要件が3つあります。 1、会社の要件、 2、後継者の要件、 3、経営者の要件…

贈与から、税額免除までの流れ!「事業承継税制の特例」

事業承継税制は改正により、全株式を対象とし、100%の納税猶予となる、画期的な改正であり、 会計事務所としては、法人の全顧問先に適用したいと考えています。 先代経営者から後継者に全株式を贈与したとして、贈与から税額免除までの流れを列挙してみ…

「配偶者居住権」と小規模宅地等の特例の関係!

1、 「配偶者居住権」において、小規模宅地等の特例はどう扱われるのか当初、明確ではなかったが、だんだんに明らかになり、 財務省から、「配偶者居住権の創設に伴う所要の措置」が発表され、大体、分かってきました。 その記述を拝見すると、 ” この配偶…

「配偶者居住権」の終了!

現在、相続の相談を数件受けていますが、「配偶者居住権」の創設で課税関係の把握が複雑になっています。 私の考えは「配偶者居住権」をうまく使えばかなりの節税になると考えています。 遺言書を作成したいので相談にのってほしいという案件があります。 「…

「配偶者居住権」、配偶者による使用及び収益、修繕等、費用の負担!

「配偶者居住権」の創設の意義は、財務省の発表によれば、 配偶者が居住建物の所有権を取得しようとすれば、遺産の構成によっては金融資産などの確保が困難になり、老後の生活に苦慮することになる。 居住と老後の生活の安定に資するため、配偶者の生存中は…

「配偶者居住権」の相続税評価方法!

令和2年4月1日から施行される配偶者居住権について、平成31年度税制改正により、配偶者居住権が設定された建物とその敷地の相続税評価の計算方法が規定されました。 4項目に分かれます。 1、配偶者居住権が設定された建物所有権の評価方法 2、建物の…

「配偶者居住権」の登記、及び存続期間!

1、配偶者居住権のの登記 第1031条(配偶者居住権の登記等) 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。 2、第605条の規定は配偶者居住権…

「配偶者居住権」設定の方法!

前回の続きです。 4、設定の方法 配偶者が「配偶者居住権」を取得するための必須要件は、 *、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していたこと。 設定の方法は、次のいずれかに該当すること、 ①、遺産の分割によって「配偶者居住権」を取得す…

「配偶者居住権」の新設!

平成31年度の相続法の改正の一環として、「配偶者居住権」が創設されました。 改正の法務省の説明は、「社会経済情勢の変化に対応するため、残された配偶者の生活に配慮する等の観点からの配偶者の居住の権利を保護する方策」 というものです。 具体的な内…

妻の「へそくり預金」は相続財産か?

今回のテーマは妻の「へそくり預金」です。 調査官「この奥様の預金は千数百万円もの残高という多額なものですが、 これはどのような預金でしょうか?」老婦人「この預金は何十年にわたって主人から頂いた生活費を 少しづつ貯めたものです」 老婦人は今。8…

相続法改正 「配偶者短期居住権」の創設!

民法1037条~1041条 これまでは、第三者に居住建物が遺贈されたり、配偶者の居住が保護 されないという問題があったので、この不都合を解消するために 創設されたのが、配偶者短期居住権です。 配偶者は、相続開始の時、被相続人の所有の建物に無償…

特定事業用宅地等の見直し!相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等除外

平成30年に「貸付事業用の小規模宅地の特例」の改正に続いての見直しとなりました。 内容は、 1、改正前 相続開始の直前において、被相続人の事業の用に供されて いた宅地、 2、改正後 相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等については 適用の対…

3年以内の取得は適用なし!貸付事業用宅地等

1、貸付事業用宅地等を取得しても、相続開始3年以内の取得は小規模宅地等の特例の適用は受けられない事になりました。 改正前 相続開始の直前において、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等 改正後 相続開始前から遡って3年を超えて、被相続人等…

相続時精算課税制度のメリット、デメリット!

今回のテーマは<相続時精算課税制度>のメリットデメリットです。 最初に<相続時精算課税制度>の基本をもう一度おさらいしておきます。 1、相続時精算課税制度の基本 ①、2500万円まで非課税、 ②、2500万円を超えると、超える部分について20% …

愛人の子の相続権はどうなる?

法定相続人の問題では、あと三つの代表的なケースがあります。 愛人の子、所謂、庶子の相続権、養子の相続権、代襲相続人の相続権、の三つです。 1、非嫡出子(愛人の子) ①、認知されていないと相続権はありません。 但し、遺言がある場合は遺産を相続する…

無道路地の評価<評価通達20-3>

無道路地とは、道路に接していない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む)を言います。 前回まで接道義務について説明しましたが、道路に接していない宅地は宅地としての価値がないと言っても過言ではありません。 しかし、財産評価上は一定の算式によ…

代償分割ーーー遺産の分割に当たって、土地が一つで相続人が3人。どうする?

現金預金も有価証券も何もない時、遺産分割する方法が3つあります。 1、換価分割 これはその土地を売って現金にして3人で分ける方法。 2、共有分割 各相続人の持分を決めて、その土地を共有名義にする方法。 3、代償分割 一人の相続人が1つしかない土…

接道義務、もう少し詳しく!

前回は接道義務に違反しているため、買い手のつかなかった宅地の話をしました。 今回はこの接道義務をもう少し詳しく解説いたします。 要点は3つです。 1、建築基準法上の道路。である。 2、直系2mの丸いボールを転がしてどこもひっかからない道路であ…

接道義務、4m、2m接道。

接道義務は、 建築基準法上最も大切な規定ではないでしょうか? 私の近所の事ですが、会社の経営が思わしくなくて、自宅を売りに出したところ、相場の半値でも売れないことが判明しました。 理由は接道路義務違反です。 次のような道路の配置になっていまし…

個人事業主の納税猶予と特定事業用宅地等の特例の関係は?

特定事業用宅地等の特例は、400㎡まで 80%減額されます、 個人事業用の納税猶予も土地400㎡と建物 800㎡まで適用があります。 どちらを選ぶべきか、という問題があります。 実は、2つ同時の適用は禁止されています。 特定事業用宅地等の400…

個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設

上記制度が平成31年度税制改正で創設されました。 内容の骨子は次のようです。 誰が,いかなる場合に、どうなる、と、税法条文の 読み方の常套方法に従って、分解してみると、 次のようになります。 1、認定相続人が、 2、2019年1月1日から202…

法務局における遺言書の保管等

今回の相続法の改正は本当に多岐にわたっています。 前回、遺言書の自筆証書遺言の見直し、現預金債権の 一部払戻し、について紹介しましたが、 まだまだ、 遺留分制度の見直し、 相続人以外の者の貢献を考慮する方策、 夫婦間で行った居住用不動産の贈与等 …

預貯金の一部払戻し制度の新設ーー相続法改正

昨年の相続法改正の中で、上記タイトルの制度が新設 されました。(新民法909条の2) 今までは法律で遺産分割が終了するまでは、相続人単独 では預貯金の払戻しが出来ないことになっていました。 相続が開始すると、葬式費用や医療費の支払い、遺族の 当…

新民法による「自筆証書遺言」を作る!

昨年7月の民法改正の1項目に、 「自筆証書遺言の方式緩和」があります。 1、 従来、自筆証書遺言は「全文、日付及び氏名」 を全て 自書しなければならないとなっていますが (民968①) 高齢者等にとってこれはかなり大変なことでした。 そこで、今回の…

40年ぶりに 民法 相続法改正!

相続法改正が、昨年7月6日に成立、7月13日 に公布されました。 1, 改正の内容は? 2、いつから施行されるのか? 1、改正の主な内容 ①、配偶者居住権を創設、 2020年4月1日から施行 ②、自筆証書遺言に添付する財産目録の作成が パソコンで可能…

不動産所得の業務における資産損失の切捨て!

不動産所得は単純に見えて、よく見ると、様々な 制限があります。 列挙してみると、 1、事業と業務の区分があり、 2、業務における、様々な制約、 3、純損失の繰越控除の制限、 4、資産損失の制限、 5、負債利子の経費算入の制限、 6、生活に通常必要…

不動産所得の赤字処理、様々!

不動産を購入した初年度は、収入が少なくて 経費が多額に発生し、大幅な赤字になることが よくあります。 例えば、 家賃収入 60万円 減価償却費 120万円 支払利息 40万円 諸経費 150万円 経費計 310万円 所得 -250万円 このような場合に、…